【総合商社とは何者なのか】~就活生憧れの商社マンについて、元商社マンが解説~

今日は、就職活動をする学生に毎年人気の総合商社について、元商社で駐在していた私の視点から
「総合商社とは何者なのか」そして、どんな人が働いていて、どんな職場環境なのか、について記事を書かせて頂きます。

商社嫌いの方、商社に興味の無い方には退屈な記事ですが、よろしければご覧くださいm(_ _)m

目次

総合商社とは

まず、ご存じの方も多いかもしれませんが、総合商社について簡単に解説致します。

まず、総合商社とは近年では以下の7大商社を指して、「総合商社」と呼ばれることが多いです。

  • 三菱商事
  • 三井物産
  • 伊藤忠商事
  • 住友商事
  • 丸紅
  • 双日
  • 豊田通商

例えば、三菱商事や三井物産は資源に強く、伊藤忠は繊維、豊通は自動車関連に強い、、、など各社特徴は異なります。

ただ、総合商社は「カップラーメンからロケットまで取り扱う」と言われる通り、ビジネスは多岐に渡ります。

例えば、オーストラリアなどの鉱山の権益や、石油・天然ガスの権益を世界中で持っていたります。
また、冷凍食品の開発などをしたりもしてます。コンビニのおでんの開発なども。。。
さらに、宇宙関連のプロジェクトに参画したり、自動運転車両(自動車)のプロジェクトに加わったりもしてます。
あとは、旅客機や船舶をリースで貸し出す事業などもやっていたり、或いは海外のフルーツや肉・ワインなどを輸入したりもしてます。日本のコンビニはほとんどが総合商社の傘下です。

上述したのはほんの一例で、なんでもやります。笑

商社の役割~高度経済成長期~

高度経済成長期の総合商社の事業はメインが、トレーディングでした。つまり、輸出入です。日本で作った車を輸出して海外で売ったり、海外で買ってきた肉・酒・フルーツなどを輸入して売ったりするのがメインの仕事でした。

但し、各メーカーや商社以外の会社もだんだんとグローバル化が進み、このような輸出入業務は自らできるようになっていき、所謂、「商社不要論」というのが世の中で叫ばれました。

しかしながら、「変幻自在な商社」と言われるように、総合商社は時代に合わせて、ビジネスモデルを変えていきます。

商社の役割~バブル崩壊後~

バブル崩壊後、商社は事業投資主体のビジネスモデルにシフトします。上述したように海外の鉱山・油田などの権益を確保したり、飛行機・船舶のリース事業、電力事業などなど。

そのため、総合商社各社のホームページから企業概要を見て頂ければわかりますが、関連会社の数がものすごいです。これら関連会社を「事業会社」と呼び、この事業会社たちが実際にお金を稼ぎます。総合商社本体は投資先の管理や利益改善のための手を売ったり、投資ポートフォリオの組み換えを考えたり・・・とブレーン(頭脳)のような仕事が多くなります。

これが今の総合商社の姿です。

「商社の役割」と言われると、少し難しいですが、商社がいないと困ることはあまりないようにも思います。ただ、膨大な資金力で投資案件・事業運営をできる、というのは、総合商社以外にはできないことかもしれません。
また、商社の特徴としてよく言われるのが与信力です。わかりやすくいってしまうと、リスクを取って稼いでいます。
※但し、リスクを極限まで減らすため、日々ものすごい地味な作業に膨大な時間を割いてますが、これは外からはあまり見えることのない、商社の地味な一面です。華やかなイメージがある商社ですが、実はこういうところは地味です。ここ、すごく大事です。地味な仕事にがっかりする新人の方も多いですが、ニュースで取り上げられるような華やかなプロジェクトの影には涙ぐましい地味な努力があります。

実際の仕事環境は・・・

では、入社してからどのような生活を送るのか・・・について。

まず、入社して約1か月もするとすぐに配属になります。一応、希望は聞かれますが、人事が決めた部署に行きます。
ですので、鉄鋼部門に入りたい!!!と言っていた新入社員が、食品部門に配属になることだってあります。所謂、「配属ガチャ」です。

そして、入社数年は事業会社と一緒に仕事をしたり、基礎の輸出入業務をやってみたり、為替予約をやってみたり、いろいろと経験を積み、20代中盤~後半で一度、海外にトレーニーとして、1年ほど駐在に行きます。

そこから、帰国して本格的に日本で各種プロジェクトを担当し、能力に応じて海外に駐在していく・・・という感じです。近年では、国内外の事業会社へ出向し、Managementスキルを上げるというのが主流になっています。

商社に入社する人の多くは海外駐在希望だと思いますが、配属される部署や取り扱っている製品・事業によって、駐在に行けるチャンスというのは異なります。やはり、ビジネスが日本国内・・・という事業もありますのでそういった部署に行くと海外のチャンスは少なくなってきます。

ちなみに私が以前所属していた商社の部署は30歳くらいから駐在に行き、そこからは5年海外→2~3年日本→5年海外・・・というのを繰り返し、出世軌道に乗ると、どこかのタイミングから日本メインになりますが、出世しない人は役職定年まで海外を彷徨います。
こんなに海外にいられるなんて!!と思う人もいると思いますが、欧米ならいいですが、家族がいるとインドや中東、アフリカなどになるとしんどいこと間違いないです。

商社マンはどんな人

ネット検索するとたまに「結婚したくない職業ランキング」に商社マンが登場します。笑

確かに、倫理感が崩壊した人もいますし、女性にモテたくて商社マンになる人もいますので、ヤバい人もいるのは確かです。但し、女ったらしの人でも仕事はバリバリやる、というケースもあります。

一方、このような商社マンばかりではなく、おとなしい人ももちろんいます。私が見ていても「なんでこの人銀行に就職しなかったんだろう」というほど真面目で、おとなしい人もいます。

ということで、商社マンと言ってもいろんな人がいます・・・という結論です。笑
ただ、皆さん熾烈な就活戦争で勝ち抜いた方々なので、会話のレベルは知的で楽しいです。(個人的感想)

ただ一つ、言えることは商社の中で生き残っていく・仕事についていく、というところでいうと、
諦めない心と負けん気の強さ、体力は必須です。

体力については、以前書いた、【商社マンの日常】~アメリカ駐在編~という記事が参考になると思いますのでよろしければご覧ください。

もちろん、仕事できない人もいますが、仕事ができる人もたくさんいます。厳しいことを言ってくる先輩もいますし、厳しい上司だっています。(優しい人もいます。笑)
そんな環境で且つ膨大な量の仕事量の中で、我武者羅に働ける体力と精神力は必須です。

お酒の弱い方へ。
噂通り、商社は飲む人が多く、飲み方もすごいです。でもあまりお酒が飲めないという人も働いていますのでご安心ください。たまに我慢して飲まないといけないときはあるのですが・・・

離職率が増加傾向の総合商社

近年、総合商社を退職する人が以前より増えています。

ネット検索すればわかりますが、総合商社の平均年収は日本の平均年収よりもはるかに高いです。にもかかわらず、辞める人が多くなってきています。

多いのは、スタートアップに行く人・外資コンサルに行く人たちです。あと、起業する人たちも多いです。

これは私の勝手な意見ですが、総合商社の仕事は非常に大きいプロジェクトが多く、やりがいはあると思います。一方で、プロジェクトが大きすぎるあまり、自分が主体になってやる・・・という点でいくと、あまりチャンスは多くありません。やはり、「大きな歯車の一部」になってしまいます。もともと商社に入ってくる人というのは自分でいろいろやりたい!!という人が多いのでそういう人からすると少し物足りなくなってきてしまうのかもしれません。

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この記事を書いた人

17年12月よりイリノイ州駐在

【夫】

長野出身、アメリカ在住

30代 田舎育ちで、田舎を抜け出し、結果田舎が好きになった男

趣味: 野球、旅行、映画鑑賞、読書

学生時代は野球に没頭。商社マンに憧れて、総合商社へ入社し、社畜となる。

マネタイズを考えているときが一番幸せ。

老後はカリフォルニアのオレンジカウンティでのんびり過ごすこと。

日々の気づきや、アメリカ生活に役立つ情報をお届けしていきます。


【妻】

愛知出身、アメリカ在住

30代 娘2人(4歳、0歳)、犬1匹(ミニチュアシュナウザー)

元旅行代理店総合職、結婚を機に退職し、現在は専業主婦

趣味:旅行、映画、ドラマ鑑賞、キャンプ

好きなことは食べること、旅行に行くこと。

2年前からキャンプをはじめてドはまり中。今シーズンもできるだけたくさん行きたい!

駐在妻のリアルな日常をブログに書いていきたいと思います。

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